2015_11
25
(Wed)21:32
ネットで広まっているのは、
Dali znaesh mila majko
shto sum ne srekjna
Cel den doma sama sedam
Nadvor ne smejam
です。
これは本来マケドニア語を綴るのに使うキリル文字ではなく、ローマ文字に置き換えたものなので、ネット翻訳に入力しても翻訳されません。
なので、この英訳だとされているこれ
Do you know, mother,
How unlucky I am?
All day I sit at home,
I am not allowed outside
が本当に正しいのかどうか、マケドニア語がわからない者にはいまいちわかりません。
そのせいだと思うけど、巷でこのマケドニア語モドキと英訳が検証もされずにコピペで増殖しているようです。
さて、本当にこれで正しいのか?
どうも私、根拠が不明なものを気やすく信じられるほど素直じゃないんだよね。
裏を取らなきゃ信じられん。
そこで、ここで見つけたキリル文字版
Дали знаеш мила мајко,
Што сум несреќна,
Цел ден дома сама седам,
Надвор не смеам.
をGoogle翻訳に突っ込んでみました。
すると
Do you know dear mother,
I am unhappy,
All day I sit at home alone,
Beyond not laugh.
となりました。
分解すると次のとおりです。
Дали знаеш do you know
мила dear
мајко mother
Што сум I am
несреќна unhappy
Цел ден all day
дома at home
сама alone
седам I sit
Надвор beyond
не not
смеам laugh
あれ?
最終行だけおかしくない?
と、昨日は相成ったわけです。
Google翻訳、有難いことに発音がわかるようローマ文字版が出ます。
それが昨日貼り付けたこれ
Dali znaeš mila maJko,
Što sum nesreḱna,
Cel den doma sama sedam,
Nadvor ne smeam.
クロアチア語とかの文字を使ってるのか?
英語には無い、飾り付きのsとnがちゃんと表示されてます。
これを見ながら曲を聴くと、確かにこの発音の通りに歌ってるので、上のキリル文字版は間違いではないと思われます。
巷に流布してる英訳も、3行目まではGoogle翻訳とほぼ同じです。
なので、残る疑問は最終行の訳だけ。
巷の訳とGoogle翻訳が全く違ってんだけど。
てかGoogle翻訳、英文になってない。
よく見ると、最後の単語の綴が違ってることに気が付きました。
巷のローマ文字版はsmejam、Google翻訳版はsmeam、jがあるのと無いの。
ということは、もしかして私が見つけたキリル文字版はjが落ちちゃったスペルミスで、それで意味が変わっちゃったのかしら?と思いました。
そこで、マケドニア語のネット辞書で検索してみたところ、смеамはあってもсмејамはありませんでした。
ということは、jのない方が正しいわけよね。
でも、смеамはlaughに類する訳しか出てこない。
じゃー、巷に流布してる英訳が間違ってるのかなあ?
一語目のНадворは、この単語だけならGoogle翻訳でも out という訳が出ましたが…。
неは not だしなあ…と思いつつ、マケドニア語辞書で何気に引いてみたところ、ありましたよ~。
не смеам で、 I must not という意味になるのでした。
これで最終行は直訳すれば
Outside I must not
になって、巷の英訳と意味的にほぼ合致するじゃないか。
疑問が解消した~
あーすっきりした。
私の疑問は解消したけど、巷にスペルミスが出回ってることが判明しちゃいました。
ネット情報は検証なしに鵜呑みにするのは危険よ、という一例になってしまった。
さてこの歌詞、昨日も書いた通りマケドニア民謡らしいけど、歌の内容としては、母親に恋人との仲を割かれた娘が嘆いている、という感じみたいです。
While the Earth Sleeps が発表された90年代は、かつてマケドニアも属していたユーゴスラビアが紛争のさなかなので、恋人云々よりも違った思いをこの歌詞に馳せて曲が作られたんじゃないのかなあ、なんて思います。
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